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東洋医学とは

東洋医学は、3000年以上の歴史を経て今日に伝えられた様々な理論や考え方を組み合わせ、病気になる前に病気を治療する「未病先防」の予防医学です。人々が古くから体験してきた多種多様な症状と、それらに対する治療経験を蓄積することによって体系立てられてきました。

昔の人は、病気を治す薬草を探すために誤って毒草を服用してしまうようなこともあったはずです。しかし、そうした経験の積み重ねによって、人々は薬草に関する知識を少しずつ得て、害のある薬草は淘汰され、人にやさしく安全で効果のある薬草だけが残って現在にいたっているのです。

ちなみに、西洋医学の場合は、新薬が開発されてから人の体に使用されるまで、試験期間は10年から20年くらいです。本当にその薬が人間の体に適しているか否かは、次の世代か、はたまたその次の世代になってみないとわからないかも知れません。


しかし西洋医学的な検査や見解も非常に重要になってきますので、我々鍼灸師は西洋医学的な知識も必要とされています。

さて、東洋医学の基本となっているのが「陰陽五行学説」です。陰陽・五行などと言われると、難しい・とっつきにくいと感じるかも知れません。しかし、そう思っていても、我々はもうすでに陰陽五行の世界に入っているのです。なぜなら、陰陽五行は、自然界そのものだからです。

自然界に存在するものは、すべて陰と陽に分けられます。それをさらに「木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)」という5つの材に分けたものが五行です。この五行のバランスが崩れると病気になると考え、それを元に戻すには、不足しているものを補い、過剰なものを捨てるという方法をとります。

臓腑弁証とは、前述の五行学説を人体に応用したもので、臓腑の生理・病理の特徴を基礎にした考え方です。東洋医学では、五行学説に気血の状態や病の状態を組み合わせることによって症状を分析し、治療法を決めていきます。

これは、数千年にも亘る中国の医療経験の財産ともいえる理論で、今日の複雑多岐にわたる不快な症状や、難治性といわれる病気の解決のカギになると考えられています。

東洋医学でいう五臓は、西洋医学でいう五臓よりも広い意味をもちます。

五臓は、「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」の5つからなり、それぞれ順番に「胆(たん)・小腸(しょうちょう)・胃(い)・大腸(だいちょう)・膀胱(ぼうこう)」の五腑が表裏一体の関係で、対になって作用しています。肝と胆、心と小腸、脾と胃、肺と大腸、腎と膀胱、という具合です。


(これに「三焦(さんしょう)」と「心包(しんぽう)」が加わって「六臓六腑」ということもありますが、今回は五臓五腑でお話します。)

本来はこれらの要素がネットワークのように連携し合い、影響し合いながら健康のバランスを保つのが理想です。しかし、どこか1か所でも弱いところ、または強すぎるところがあるとバランスが崩れてしまい、気になる症状や病気などが出てきます。

東洋医学では、この臓腑で強いところと弱いところの判別をし、各個人の体質を見極め、それにしたがった治療をおこなっていきます。


バランスを重視して、目に見える症状だけにとらわれず、根本的に整えていくことが大切なのです。

ストレス社会と言われて久しい現代ですが、東洋医学では心身のバランスを取る考えをこのように古くから伝えられており、鍼灸治療はとても適しております。


当院では経験医学である東洋医学をベースに、現代医学である西洋医学の視点も踏まえた鍼灸治療を行ってまいります。

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